耳鼻科開業医の趣味と実務と日常


by a-jibika

研究か臨床か

医者の仕事には大きな二本柱があります。それは臨床と研究。臨床とは患者さんの診療で、研究には基礎的なものもありますし、臨床データをまとめたりするものもあります。研究か臨床かの比重は、環境や医者個人の考え方でも変わってきます。環境というのは、簡単に言えば勤めている病院の違いです。同じ勤務医でも、大学病院にいれば研究の比重が大きくなり、市中病院となりますと臨床の比重が大きくなります。開業医は大抵の場合、さらに臨床の比重が大きくなります。

私も大学病院に籍を置いていた頃には、夜な夜な基礎的な研究をしていました。データを取って、解析して、なんとか結果を出して、スライド作って学会発表、なんていう生活をしていたこともあります。ただし、研究しているから臨床はしなくてもいいなんて甘いことはなかったですし、しかも大学病院の給料だけでは生活していけませんでしたから、週に2〜3日はバイト(他の病院に日雇いで出向き診療してくること)もしていました。昼は臨床で夜は研究、週末はバイトという日々で、結構ハードではありました。

しかも大学病院時代の研究というのは、上から与えられたテーマだったと言うこともあって、どうしても情熱を注ぐことは出来ませんでした。大学病院には出たり入ったりで通算3年近く在籍していたと思いますが、とうとうまとまった成果を得ることは出来ず、市中病院へ就職、そして開業しました。

大学を辞めたこと、そして開業したこと、その時々でベストな選択をしてきたたと今でも思っています。よく小説やドラマなどで、ある時点まで人生巻き戻してやり直せるとしたらどうするか、なんて話がありますが、私は別の選択をしたらどうなっていたかなんていうのは、考えても無意味だと思っています。仕事のこと以外でも人生色々な選択をしなくてはいけないこともあるわけですが、決めて行動したらその結果は全部受け止めて、とにかく進むしかないんじゃないかと思っています。

ただし、今日しんみりとこんなことを語っているのには、実は訳があります。今日は耳鼻科の全国学会がお隣の仙台市でありましたので、日帰りで参加してきました。参加といっても発表するわけではなくて、もっぱら他の先生方の研究成果を聴く側です。いつもは、より臨床的と言いますか、診療に直ぐにでも役立ちそうなテーマばかり選んで聴いてくるのですが、今回はちょっと気まぐれを起こして、かなりマニアックな基礎的な話を聞いてきました。発表する演者は私よりも遙かに若いのですが、自信にあふれ、質疑応答も同じ志で研究をしている別の研究者との間で活発に交わされていました。内容はいまいち理解できなかったのですが、若い研究者の情熱に触れて、そういう生き方もあったんだよなと思った次第。

ただ仮にもう一度、研究中心でいくか、臨床中心で行くかの分かれ道の時点に、時間が戻されたとしても、結局同じ道を選ぶはずだとと思うのです。さらには例え、それぞれの結果が分かっていたとしても、選択は変えないと思います。
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by a-jibika | 2010-05-21 23:10 | 診療あれこれ